第7回 聴覚だけで2回に分かれましたけど大丈夫そうですか? 前回のあらすじが長すぎる説が浮上しています

第7回 聴覚だけで2回に分かれましたけど大丈夫そうですか? 前回のあらすじが長すぎる説が浮上しています

毎回している「前回はこんな話をしました」は今回からやめることにします。新しい技を考えました。その名も「前回のお話はこちら」。画期的ですよね? とか言ってる間に文字数を使ってしまっているので本題にいきますね。

今回は、有意識 / 無意識関係なく、どんな音がこどもたちの遊びの中で鳴っているのか、そして音が鳴ることで遊びにどのような影響があるのかを、スポットごとに考えてみましょう。

砂場でこどもたちが遊んでいます。砂をザクザクと掘る音は、繰り返しの遊びにリズムを与えたり、「少し固まった砂」という存在を音からも認識したりと、意識せずとも遊びに彩りを与えてくれます。そこに水を流してみると、バシャーっと音がして「流れ」を教えてくれたり、水が染み込んだ砂を掘ると、ザクザクがジャクジャクへ変化していることを発見したり、視覚や触覚を無視した聴覚だけの砂場からも、楽しい遊びはたくさん発見されていきますね。ということは、砂場におけるスコップやバケツは、聴覚を引き出すアイテムと言えそうです。

また、こどもたちにとって遊びの中で最も強力に作用する聴覚は人の声です。先生の声、友達の声、一緒に遊んでいる人の声は、こどもたちの聴覚を刺激し、その瞬間の最高の遊びをつくり出していきます。ブランコに友達と並んで乗る時、「せーのっ!」という掛け声をかけたりしていますよね? これも、ブランコを同時に漕ぎ出すという遊びです。一人で黙々と漕ぐより楽しいので、お互いの「せーのっ!」を聞いてタイミングよく体を動かし遊んでいるというわけです。

一緒に遊んでいる人との会話がたくさん生まれるような遊びは、聴覚からの感覚刺激が入り、もっともっと楽しくなります。遊びに余白があり、こどもたちでルールなど遊び方をどんどん変えながら展開できるような遊び(砂場遊びやごっこ遊びなど)や、一人では難易度が高く、人と協力しなければ達成できないような遊び(物理的に大きいとか重くて一人で移動できないものなど)は、会話がたくさん生まれそうですね。一人で遊ぶ時でも、クライミングなどは、大人の「よいしょ」という掛け声に合わせてタイミングよく登ったりと、さまざまな遊びの場面で聴覚は楽しさを引き出しているのです。

当然、聴覚がもっと楽しくなるために作用する人もいれば、聴覚からの刺激が入りすぎて不快な思いをしている人たちもいます。その人たちのために、隠れ家やトンネル(窓があって中からみんなを見れると楽しそう)など、中に入り込んで静かに過ごせる環境もあると、そこがよりよい遊び場になっていくんじゃないかと思います。

聴覚の刺激が加わるともっと楽しいから、もっと遊びたい。聴覚の刺激が抑えられるともっと楽しいから、もっと遊びたい。これって、前回話していた「楽しくて楽しくて遊びが止まりません環境」に少し近づいている気がしませんか? そんなわけでサラッとしている部分もありますが、聴覚についてはこの辺にして、次回は視覚について書いていこうと思います。その前に恒例の絵なのか図なのかわからないと評判のこちらをどうぞ。

育ちは凸凹 感覚統合ってなぁに?

すばらしい。グレートです。誰か写真集出しませんか? ではまた。


小野寺聡太(おのでらそうた)
バンド活動中心の生活を続けながら、ライブハウスに就職し企画制作、映像編集、プロデュースのようなことを10年続ける。現在、株式会社アネビーにて、環境に合わせた遊具の設計と提案を繰り返し、こどもたちの遊び創りを研究中。日本感覚統合学会会員(新人)。2児の父。
ブログに戻る