前回は「遊び」を通して楽しいと感じることで、何度も繰り返し挑戦し、「発達」(身体能力を取得)していくということは、「今できる遊び」=「発達の段階」なんじゃない?というお話と、脳が発達によってさまざまな運動(自分の意志で体を自由に動かすという意味での運動)ができるようになるというお話をしました。今回は「脳の発達には何が必要なの?」という部分のお話です。そしてやっと「感覚統合」の話につながっていきそうです。大変お待たせしました。
脳の発達に必要な栄養素の一つが「感覚」です。感覚は脳の食事と言われるほどです。脳の発達には感覚がとても重要です。それぞれの「感覚」の役割については改めて説明しますが、「視覚」「聴覚」「味覚」「嗅覚」「触覚」「前庭覚」「固有覚」、(人間の感覚はもっとありますが)この7つの「感覚」が脳の発達には特に重要だと言われています。その中でも「味覚」と「嗅覚」を抜いた、「視覚」「聴覚」「触覚」「前庭覚」「固有覚」、この5つが感覚統合を理解する上では大切になってきます。
僕たちは、日々の生活の中で同時に入ってくる複数の感覚を、無意識のうちに脳で分類したり整理したりして、次の行動につなげられるように体に伝えています。この脳の機能を感覚統合と呼びます。
例えば、けん玉の玉を大皿に乗せたり、積み木を崩さず積んだりすることもそうです。この2つは大人の僕たちでも、「惜しかったのになんでだよ!くぅー!楽しいー!」を何度も繰り返して上達していきませんか?また、パックのジュースなどもブチューッと握り潰さずに飲めていると思います。これって、右手にスマホ(硬いもの)、左手にパックのジュース(柔らかいもの)を持っていたとしてもできますよね。
僕たちは、場面に応じて適切な行動を取るために、運動調整をしています。それは体が感じる(感覚器から入ってくる)感覚情報を、脳が適切に処理し、必要な情報だけを上手に伝えられているからなのです。つまり「感覚統合」がうまくいっているというわけです。すばらしい能力だと思いませんか?こうした「発達と遊びの密接な関係」を紐解くカギとなる理論が「感覚統合」というわけなのです。
「感覚統合」は、1960年にアメリカの作業療法士であるエアーズさんという方が考えた理論で、現代でも多くの作業療法士さんが現場で実践し、研究が続けられています。何を隠そう、僕が扱っているアネビーの遊具は、この「感覚統合」という考え方を基につくられています。発達支援の現場でも使われているので、「感覚統合」の専門家である作業療法士さんに直接うかがったお話なども、この場で発信していきたいと思います。
ともかく、この感覚統合という理論、僕が「こどもにとっていい環境ってなんだ?」「それってどうやったらつくれるんだろう?」という難問を紐解くために、ものすごく大切な要素なのです。
次回からは、なぜ「感覚」が大切なのかをお話ししていきますね。それまでにこの図を見ておいてください。予習は大事ですからね(偉そうですみません……とずっと思っているので許してください)。
恒例のまとめを視覚化してお伝えするお時間です。毎回恐ろしく芸術的な図を展開していますが、伝わっていますか?キース・へリングよろしく、ポップアートを気取っているわけではないので悪しからず。
あっ、これめちゃくちゃ大切なんですけど、アネビーの遊具や遊び環境のご提案に興味があれば、とも社さんに「小野寺呼んでこーい!」とおっしゃってくださいね!飛んでいきますので!ではまた!