第8回 今回は視覚のお話です

第8回 今回は視覚のお話です

皆さんお久しぶりです。書こう書こうと思っていましたが、全く書いていませんでした。本当に書こうとは思ってたんですよ。でも不思議なもので、「はっ」と気づくと11月になっておりました……。しか~し反省タイムは5分で済ませて、バシッと書いていこうと思います。時間も経ってしまっているので、まずはこちらで前回までのお話を振り返ってみてください。

では今回は、「基礎感覚」の「視覚とは何なのか」「遊びの中でどのように作用しているのか」を考察していこうと思います。聴覚同様、視覚って当たり前に使われていますよね。深く考えてみたことありますか?人間は外界の情報の約80%を視覚から得ているといわれています。視覚の受容器はもちろん「眼」ということになりますよね。では、僕たちは眼を使いどうやってものを見ているのでしょうか?

複雑な構造なので、すごくシンプルにまとめてみましょう。ものの形や色は、光として角膜という黒目の部分から真ん中にある瞳孔へと進み、その先にある水晶体でピントを合わせます。そこから硝子体(ゼリー状の眼の形を維持する器官)を通り網膜へ伝わります。この網膜へ伝わった光が電気信号となり、脳へと伝わって画像として認識されるのです。つまり黒目に光が入って、いろいろいい感じに調整されたら電気信号に変えてバーン!と脳まで飛ばしてるわけですね。

「感覚統合」という機能でいうと、この視覚情報がほかの器官から同時に入ってくる「音」「傾き」「筋肉の力加減」「皮膚の変形」などさまざまな感覚情報と統合され、必要な情報だけを選択して運動計画が組み立てられていきます。

また、視覚からの情報は、人の顔を見て誰なのかを認識したり、背景との関係からどれくらいの距離にいるのかを瞬時に理解したり、だんだん大きくなる対象を見て近づいてきていると認識したり、過去の経験から得られた無数の情報と照らし合わせながら、判断し意思決定していくという機能の中心にあるともいえますよね。

行動だけではなく、例えば、まだ「犬」を「犬」として認識していないこどもが認識する過程でも、抽象的な「犬」という存在を、情報の蓄積を繰り返し、具体化していくことはすごく重要で、実写、デッサン、キャラなど、同じ犬でもすべてが「犬」として認識できるまでには、「輪郭」「顔のパーツの位置」「配色のパターン」などの視覚情報の蓄積や、「鳴き声」「肌触り」などほかの感覚情報と照らし合わせながら摘出する必要があります。こういった眼と動作と記憶のつながりは、8カ月くらいから強くなってくるといわれています。

ややこしい話になりましたけど、感覚、知覚、認知、行動、結果という事象を何度も何度も繰り返し、こどもたちは「遊び」に道具を持ち込んだり、他人を巻き込んだりして、発達のピラミッドを楽しみながら上へと進んでいくのです。

運動(行動)でいうと、粗大運動も微細運動も「眼と手の協応」が重要になってきます。クライミングのグリップを眼で追って掴んだり、積んである積み木を見ながら次の積み木を積むなど、ふだん僕たちは意識せずにやっていることも、最初は視覚に頼りながら何度も経験し、コツを掴んでいきます。パソコンのキーボードもそうですよね。僕はいまだに思いっきり見ながら打っていますけど、何となく頭に浮かんでいる文字の場所にスッと指が動くのは、たくさん経験したことで「か」を打つのに必要な脳回路内の神経細胞同士が強くつながっているからです。こういった眼と手の協応動作も、「基礎感覚」同士がうまく統合されていくことでバランスよく育ち、身についていくといえるのではないでしょうか。

それでは最後にもっともっとわかりやすくするために、今回も僕の絵なのか図なのかわからないで有名な画像で振り返ってみましょう。

育ちは凸凹 感覚統合ってなぁに?

色味が本当にいいですね(ほめてください)。次回は、遊びと視覚です。遊びの中に隠れている視覚的要素を皆さんで考えてみましょう。ではまた。


小野寺聡太(おのでらそうた)
バンド活動中心の生活を続けながら、ライブハウスに就職し企画制作、映像編集、プロデュースのようなことを10年続ける。現在、株式会社アネビーにて、環境に合わせた遊具の設計と提案を繰り返し、こどもたちの遊び創りを研究中。日本感覚統合学会会員(新人)。2児の父。
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