今回からは、えほんの党の大阪支部鈴木氏と対談します。いろんな絵本の楽しみ方を実践しながら、こどもと向き合う庭的読書のパイオニア。テーマは「聞くことから始まらない絵本!? です」。
藤田進(以下、進):こんにちは。庭的読書のパイオニアの鈴木さん、今回はどんな話をしましょうか?
鈴木健司(以下、鈴):こんにちは。先日『カレーライス』(福音館書店)を読む時に、家からカレー粉を持っていって、「今から読む本は何かわかる?」ってこどもたちに聞いてみたんです。
進:ほほう。何でまた?
鈴:そこなんですけどね。そもそも絵本に馴染みのない人たちもいるわけです。絵本を体験すらしたことのない大人やこどもが……。僕の経験ですけど、そういう人たちは集団で絵本を読む時にはみ出ちゃうことがある。
進:絵本を読んでいても聞けない人がいるって意味ですか?
鈴:あっ、それそれ!絵本って無意識に「聞く」という入り口をつくっちゃってるんです。それって結構ハードルが高いんですよ。わかりにくいかもしれませんが……。
進:確かに無意識に「聞く」っていうのを前提にしてました。
鈴:でしょ!だから、僕は庭的読書って気に入ってるんです。つまり、庭的ですから五感のすべてが絵本の入り口になる。これまた、わかりにくいかもしれませんが……。
進:絵本を楽しみ / 世界を愛でる時に、「聞く」っていうのは一つの要素でしかないってことですかねぇ。う〜ん、視界が一気に拓けてどこにいるか見失いそう。
鈴:カレー粉がなくたって、こどもたちは想像しながら匂っているかもしれません。でもね、「聞く」っていうことを重視し過ぎている気がするんです。う〜ん、誤解されそう。つまり、「聞かせる」っていうことを重視し過ぎているってことかな。
進:聞けない人は、絵本の入り口に入れない。っていう無意識のハードルか……。(つづく)