えほん開拓史③

前回のあらすじ
「聞くことから始まらない絵本!?」というテーマで鈴木氏と対談し、今回が最終回。前回は「絵本は体で感じる?」ということ、「共感よりも共鳴というのが鍵」というお話でした。

藤田進(以下、進):こどもたちに絵本を読んだあと、満足感や達成感を得るのってどんな時ですか?

鈴木健司(以下、鈴):集中して聞いてくれたとか、内容を理解してくれたということよりも、ただ単に共鳴し合えたかどうかかも。僕、いつも「あなたに読んでますよ、あなたを見てますよ!」っていうことを大切に語りかけるんだけど、絵本を通してその気持ちが伝わったらうれしくなる。

:そうかぁ。「あなたを見てますよ!」というシンプルだけど、温かいまなざしと語りかけがあるからこそ、絵本を通して共鳴できるのかもしれませんね。確かに、僕も「聞くこと」よりもその「共鳴」がうれしい。

:だから、下を向いてしまう子だったり、集団がきつそうな子には、その子に合わせて絵本を読んじゃいますね。ついてこられるようにページをめくり直したりアイコンタクトを多くしたり。

:そういうこどもたちにこそ、絵本を通して「あなたを見てますよ!」って語りかけていることが、鈴木さんにとってとても大切なことなんですね。なんか少しずつわかってきました。パイオニアの鋭さの理由が……。

:集団でみんなと共鳴しながら楽しむ時に、手に持って移動したりページを戻ったりできるのが絵本のいいところです。彼らのペースに合わせて絵本を一緒に楽しめる。

:そこそこ!「彼らのペースに合わせて」っていうところです。鈴木さんは徹底的にこどもに尋ねたりしながら応答的な読み方をする。そこから共鳴が広がっていく。

:庭的読書ですから、こどもたちと一緒に絵本を楽しむ。たとえそれがどんな状況のこどもでも、絵本だったら一緒に楽しめる。そう信じているんです。

:鈴木さんの、その「こどもを信じる」って本当に大切なことだなぁと痛感します。庭的読書の根幹部分ですね。もっと聞きたい……。また対談しましょう!ありがとうございました。(「えほん開拓史」おわり)

※この記事は庭しんぶん12号(2018年8月号)に掲載されたものです。

鈴木健司(鈴木健司)
関西こどものとも社勤務。よみきかせボランティアサークル三丁目の鷹主宰。兵庫県伊丹市立図書館でよみきかせを学び、以来さまざまな現場で絵本のよみきかせを行う。2022年1月号こどものとも年少版『さんぽにいったバナナ』を福音館書店より出版。
藤田進(ふじたすすむ)
好奇心や探究心をたっぷり使いながらこどもと日々を過ごせるように、そして、こどもとこの地球や社会をどのように分かち合うかを模索しながら、絵本やおもちゃの販売、庭しんぶんの発行、研修事業などを運営中。札幌第一こどものとも社代表。庭しんぶん編集長。3児の父。
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